在庫の山
最初のうちは、とにかく今までにない
新しいものを作ろうという思いでキャラクターを作り、
気心の知れた仲間との作業も楽しかった。
しかし、"ペペロッソ"というキャラクターが
なかなか一人歩きをしてくれない。
世間に認知されることもなく、
仕事につながることもなかった。
ぼくたちはキャラクターを作りだすことはできたが、
それを売る方法も、
売る場所の確保も出来ていなかったのだ。
結局、手をこまねいて待っているだけで、
うまく売っていく手段を持ち得ぬまま
一年二年と過ぎていき、
日々の仕事に追われているうちに
続けていく情熱も根気も薄れていってしまい、
始めた頃の熱意がなくなっていった。
家には大量の絵本やグッズだけが残り、
引っ越しの際、その在庫の山を見る度に、
ぼくの胸は疼くのだった。
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