しかしどんなに新しいものを描いても、
仕事を頼んでくる人たちはその絵には関心を払わず、
「青木さんとお仕事されてたんですよね」とか、
「青木さんってどういう人なんですか」とか、
青木さんのことばかり聞いてくる。
ぼくが何日も悩み抜いて描いた絵を目の前にして、
その絵の話題はほんの数分で終わり、
その後はほとんど青木さんの話題ばかりされている
辛さといったらなかった。
仕事の注文も、
「青木さんとやった○○みたいな感じで」
などというリピートの依頼ばかり。
イラストレーターは所詮注文仕事、
そう頼まれればそのように描くしかない。
結局、久保誠二郎の絵を求めているのではなく、
青木テイストの絵を求めているんじゃないかと悩み、
青木さんとの仕事でやっていないもの、
ぼくの仕事としての絵はどういうものかと
いうことばかり考えていた。
あの頃は、青木さんという大きな影から逃れようと
あがいていた。
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