フリーペーパー
食事の時もマックの前から離れず、
人と接触することもほとんど無くなっていたぼくを、
今度仲間うちで集まって展覧会をやるから
一緒にやらないかと誘ってくれたのも宗くんだった。
地元の福岡でスペースを借りたので、
みんなで面白いことをやろうというのだ。
それまでずっと、ひとりマックの前に座って
作業をしていたぼくにとって、
展覧会というのは初めての経験だったし、
みんなで飲み屋に集まってわいわいアイデアを
出し合ったりするのは学生の時以来でとても楽しく、
六人集まって六個展と名付けられた
その展覧会に参加したことは、
ぼくに大きな変化をもたらしてくれた。
なかでも、宗くんがどうしてもやりたいと言って
作ったタブロイド判のフリーペーパーは忘れられない。
今でこそ当たり前になっているが、
当時はタダで配られるフリーペーパーというものが
まだ珍しい時で、何十万もの印刷代をほぼ全額
宗くんが持ち出して、
しかもタダで配ると聞いたときには、
この人おかしいんじゃないかと思ったものだ。
しかし、各々が自分のページを担当して
イラストや写真を持ち寄り、
それが一つのまとまった印刷物として
出来上がったときには、
みんなで作り上げたという達成感があり、
また出来映えにも大変満足だった。
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