マッキントッシュ

“ON”というその会社では、
デザインの実践的なことを数多く学んだ。
そして何より大きかったのは、
マッキントッシュとの出会いだった。
これまでの手描きでの作業で
何度も何度も描き直していたのが
バカらしくなるくらい、
キー操作ひとつでなんでも試してみることが出来る。
幸か不幸か会社は暇だったので、
仕事がないときには、
おもちゃを与えられた子どものように、
とにかく毎日まいにちマックをいじっては
絵を描いていた。
そうやって修練していく中で、
やっと形になったなと思えるものが描けるようになり、
あるイラストレーターに恐る恐る見てもらった。
しかし、その人の評価は、
フラット過ぎる、クセがない、
味も素っ気もないと散々なものだった。


そんな頃、同世代のイラストレーター、
宗誠二郎くんと知り合い、
彼のパワー溢れる絵に影響を受けていった。
なにより彼は、マックで描いたぼくの絵を
しきりに褒めてくれた。
彼の言葉に勇気づけられて、
事務所のマックからほとんど離れずに絵を描き続けた。
しかし、仕事中にそんなに時間がある会社が
うまくいっているはずもなく、
だんだん給料が遅れるようになって、
会社はあっけなく倒産した。


イラスト:久保誠二郎 文:石川勝己



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