チャンス

「ウルトラヘブン」では、
全員の作品をまとめた本の出版や、
その作品を展示する展覧会の企画など、
月に一度くらいは集まっていた。

そこでの時間は、物を作ることで
自分を表現していこうとする人たちと出会い、
自分の絵を人に見せて意見をもらったり、
ほかの人の作品を見て大いに刺激を受けたりと、
ぼくにとって非常に大きなものだったと思う。
さらに、それからのぼくに大きな影響を
及ぼすことになる、

アートディレクターの
青木克憲さんと初めて会ったのも、
この「ウルトラヘブン」だった。
何度目かの会合で、「宗くんたちと作った
フリーペーパーを見たんだけど、
あのクマの絵がすごくいいね」と、
笑顔で声を掛けてきたのが青木さんだった。


彼は、手がける作品が次々と話題になり、
広告の世界では期待の若手クリエイターと
目されている人で、
そんな人に自分の絵をベタ褒めされて、
とてもいい気分だったのを覚えている。
しかし、青木さんと実際につき合っていくにつれて、
そんな気分もすぐに消し飛んでいくことになる。


イラスト:久保誠二郎 文:石川勝己



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