子供心に宿るコンプレックス。
その心の情景を石川勝己さんの文章と
久保誠二郎さんのイラストが描きます。

指定席

辞めたくても辞められなかったとはいえ、
せっかく柔道を始めたのだから強くはなりたかった。

これまで何かで一番になるということが無かったので、
とにかく一番になりたかった。
　しかしいくら頑張っても、
必ず僕より高い所に立っている奴がいた。

一度も一番になれないまま、高校生活は終わった。


イラスト：久保誠二郎　文：石川勝己