コペット誕生
「パイクスペット」としての活動が
うまく進まなくて悶々としていた時期、
しばらく離れていた青木さんと何年か振りに再会した。
近況報告のようなかたちで
「パイクスペット」の話をすると、
青木さんはすぐさま、
「じゃあ、そのキャラクターを使って
絵本を作ろう」と言い出した。
久しぶりにメンバーが集まって、
“ペペロッソ”を主役に何本かのお話をつくり、
そのなかから厳選して、三種類の絵本をプレゼンした。事務所でじっと絵本を読んでいる青木さんのそばで、
緊張して待っているぼく。
しばらくして、
「いいねえ、これ」という声に絵本をのぞき込むと、
指先は中心で躍動している“ペペロッソ”ではなく、
その背景に落書きのように描いていた
ゾウを指していた。
複雑な心境のぼくにはまったく構わず、
青木さんは例の屈託のない笑顔で、
こういうタッチの動物の種類を
どんどん増やしていこうよと言う。
“ペペロッソ”の話はどうなったんだ?と思いつつも、
次々とアイデアを持ち出してくる
青木さんを見ているうちに、
何年も前、
初めて青木さんに会った頃のことを思い出し、
ぼくも動物のキャラクターを
やってみる気になっていた。
結局“ペペロッソ”の絵本の話は立ち消えになったが、
それがコペット誕生のきっかけとなった。
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